2021年5月5日水曜日

ゴリランとわたし

    見かけだけが真実ではない
わたしは9歳、ある日ゴリラに引き取られます。
ヨンナはヨモギギク園という養護施設に暮らしています。9月のある
大掃除の日、ここでの大掃除というのは誰かが引き取られる、ここ
からでてその子の家庭がもてるということです。自分がその子にな
るチャンスかと、みんなワクワクしています。
けれど、その日にやってきたのはゴリラ、引き取られることになった
のは私ヨンナでした。ゴリラ、ダブダフのズボンはずり落ちて丸おな
か、上半身はなにも着ていません。車はオンボロです。
みんなみたいににげなかったヨンナ、ゴリラと目が合います。ゴリラ
の名前はゴリラン、まちはずれで古物(廃品に手をくわえたもの、イ
ンチキもあります)を売っています。オンボロ小屋のような家にいっ
て、ヨンナは逃げようとしますが失敗します。規律だけで、愛情の感
じられない施設に育ったヨンナには考えられなく自由な暮らしです。
ゴリランは本が大好きです。たくさん本をもっています。古本屋が夢
です。ヨアナンの思い込みは、つぎつぎとちがってくる、そもそも、
愛情とか家庭とか、見かけとかがゴリランには通用しないことを知り
ます。
読み進むうちにゴリランのヨンナにたいする愛情はゴリランがヨンナ
と同じような施設で育っていたことや、ゴリランが大切に思っている本
「オリバー・ツイスト」のこと、サルの星のこと、ヨンナはすこしづつ
知っていきます。そして、なによりもゴリランの腕のなかの暖かさはヨ
ンナが一番必要としていたものでした。ヨンナとゴリランの新しい生活
の出発です。土地計画開発を目論む町の権力者との争いや、見かけで人
を判断する人たちとの痛快なやりとり、見かけと評価(お金)など、テ
ンポよくすすんでいく文や漫画風のさしえが物語を楽しくしてくれます。
そして、考えることの多い物語です。
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「ゴリランとわたし」
フリーダ・ニルソン作
よこのなな 訳
ながしまひろみ絵
岩波書店刊 本体1700円+税


      

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