おとなのあなたへの物語
カキの木山にオニタロウというオニが住んでいました。オニタロウ
は独り者の若いオニです。このお話の中で出てくるオニはひとりぼ
っちで友だちのオニはいません。一番仲良しはカラスのカースケです。
オニタロウは初めからひとりだったわけではありません。オニが谷と
いうところにたくさんのオニがいて、ここでは10歳になると独り立ち
をしなければなりません。そんなわけでオニタロウもつい前にカキの
木山へ移り住んだのです。ある日父さんオニが訪ねてきて、どうして
こんなところでひとりで住んでいるのか?子分はいるのかと尋ねまし
た。気の優しいオニタロウは怖い父親に、ついたくさんいると答える
と「高雪山のオニ祭り」の帰りに寄るので子分にも会いたいと言いま
す。さあ子分なんかいないオニタロウはどうするでしょう。カラスの
カースケが心配して人間の住む里に「たけのこえん」というところに
小さな人間が30人くらいいるので、その子たちを子分にしたらどうだ
ろうということになり、相撲をとってまかして子分にしようと思います。
さあ、うまくいくでしょうか。
なんだか世の中が落ち着かない今、こういう幼い人たちを対象にした
本を読むとなんだかほっとします。幼い子どもたちのエネルギーとマイ
ナス状態のことを書いていても、子どもの知恵を出して解決できるとい
う安心と心地よさを感ずるからでしょう。私自身が歳を取ってきたのか、
ゆっくりと物語は進むのが心地良いのではないかと思いますが、でもち
ょっと考えると子どもたちのエネルギーはこれではすまないのではない
かとも思います。
この物語は保育園の実践記録から生まれたものとのこと、子どもたちは
オニという異分子を楽しく物語、生活の中に取り入れてしまう、そこに
子どもと一緒に生活することを楽しむ大人がいる(物語の中の保育士)
それが描かれているのだから、文句なしに楽しめるのだと気がつきます。
本の中の挿絵もお話にぴったりです。「オニはそと」でなく「オニはうち」
読んでいるうちにおとなとしての狭い呪縛から解放されている自分を見つけ
ることができます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「オニタロウ」
こさかまさみ・文
北村人・絵
福音館書店刊
0 件のコメント:
コメントを投稿